2009-01-14(Wed)
羽柴麻央『イロドリミドリ』
満足度 : ★★★★☆(4.5/5.0)
“初恋”をテーマにした短編集、表題の「イロドリミドリ」を含む5つの物語を収録。
舞台は中学~高校、そして図書館と幅広い。読者によっては「あぁ、こんなふうなこともあったかもな」と共感・回顧的な気分にさせられるかもしれない。
主題は“初恋”ながらも、その背景にあるのは「初恋は実らない」という観念。
甘酸っぱく、そして少し苦いストーリーが胸を締め付けてくる。
物語の主人公たちは失恋を乗り越えた先が見えている。決して絶望して生きることに投げ遣りになるわけではない。後悔して涙を流す場面もあるけれども、その経験を生かし前を向いて生きていく。そのような意味では、非常にポジティヴな作品であると感じる。
絵調は朗らかでやわらかで、極めて“少女漫画”っぽいといえる。個人的には泣き顔描写が特に素晴らしいと思う。ぐちゃぐちゃになった主人公の顔、しかしぐちゃぐたゃだからこそあまりにも美しいのだ。
あたたかく切ない気持ちに、そして優しい気持ちになりたい方にオススメ。
=なぉ=
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