2008-12-25(Thu)
箱宮ケイ『できそこないの物語』
満足度 : ★★★★(4.0/5.0)
“魔法人形”と呼ばれる人形たちの物語、1巻現在においてはオムニバス形式。
自分達がどのような存在であるかも何一つ知らされないまま、気がつくと人間たちに賞金首として追われている魔法人形たち。何故追われるのか理由も分からず、それでもただ自身ら存在を受け入れ、他の仲間である魔法人形を探していこうとするそんな不思議なファンタジー。
なんでも、とある博士が禁忌の術を使って生命を作り出した結果、魔法人形たちが生まれたらしいのだが、1巻の時点ではまだまだ謎が多い。
各々の魔法人形は個性的で魅力的。賞金を目当てに追ってくる人たちが多い中、魔法人形たちに何らかの形で理解を示した人間たちの描き方がとても綺麗。それは強盗に襲われていたところ、たまたま、結果的に魔法人形に救われたという話であったり、戦場における兵士たちの魔法人形を守ろうとする優しさであったり。決して特異なことを描いているわけではないのに、全体的にほんわかした雰囲気もあってか妙に感動的な仕上がりとなっている不思議。その意味で異質。
既述の通り、1巻の時点では様々な魔法人形たちに対して各々エピソードを当てた形のオムニバス形式。巻末が近づくにつれ、徐々に魔法人形同士が絡まりあっていく。その辺りを今後どう描いていくのか楽しみな作品。
基本的にファンタジー系統はあまり得意ではないのですけれども、この作品にはしてやられた印象。
バイオレンスな表現はなく、それでいて心に訴えてくるものがあるので大人は勿論子どもにも是非勧めたい素敵な作品。
カバーをめくるとおまけあり。
=なぉ=
スポンサーサイト