2008-12-24(Wed)
宇仁田ゆみ『うさぎドロップ』
満足度 : ★★★★☆(4.5/5.0)
擬似家族モノ。
主人公が祖父の葬儀に出向いたところ、そこには祖父の隠し子と言われる小さな子、“りん”が。
系図的には“叔母さん”にあたる、保育園程度の年齢の子で、その母親もいつの間にやら雲隠れ。
結局のところ親族連中に疎まれる存在となってしまう“りん”。
「誰が一時的にこの子を預かるか」とかいいつつ、着地点の決まったで出来レースに嫌気がさす主人公、そして“りん”を引き取ることになり。
視点がとても優しい作品。
今まで子育てなどに縁がなかった主人公だが、“りん”を養うために頑張る姿には胸を打たれる。また、そのような頑張る姿を見せ付ける反面、子育てに関して他者が感じていた不満がポロリと、そしてポロリと出た言葉だからこそとても重く悲しいシーンも。
20代半ばとなってしまった今、自身が保育園の時どのようなことを考えていたかなどは到底思い出せるものではないですけれども、案外子どもは大人が思う以上に複雑なことを思い、感じているのだろうということをしみじみと感じさせてくれる。大人の間で、子どもに聞かれたくないようなことを暗喩で話していたりしても、案外子どもは何かを感じ取ってしまうものなのでしょうね。
絵柄も素朴で個人的には好み。作り過ぎていない雰囲気が作品の世界観にとても合っている。
大判サイズでしっかりした装丁であるため値段設定が少し高め。とはいえ、それに見合う素晴らしい作品であることは間違いないと思います。オススメ。
=なぉ=
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