2008-12-23(Tue)
大槻ケンヂと絶望少女達『かくれんぼか鬼ごっこよ』
かくれんぼか鬼ごっこよ(初回限定盤)(DVD付)
posted with amazlet at 08.12.22
大槻ケンヂと絶望少女達 大槻ケンヂ
キングレコード (2008-12-10)
売り上げランキング: 64
キングレコード (2008-12-10)
売り上げランキング: 64
満足度 : ★★★★(4.0/5.0)
<収録曲>
1. Intro-大槻ケンヂと絶望少女達
2. ニート釣り
3. 空想ルンバ-少女が違うVER
4. 綿いっぱいの愛を! 絶望少女版
5. 絶望遊戯
6. ヒキツリピカソ・ギリギリピエロ
7. 無神論者が聖夜に
8. 人形たち
9. 人として軸がぶれている-少女が違うVER
10. さよなら! 絶望先生
11. おやすみ-END
12. 空想ルンバらっぷ
『さよなら絶望先生』をモチーフとしたコンセプトアルバム。
名義上は大槻ケンヂと絶望少女達となっており、表向きパロディ色が強く感じられるが内容は極めて前衛的でエッジがきいており、毒気を含んだクールな仕上がりとなっている。それは導入のM1を聴いただけでも明らか。
まず「ニート釣り」からしてとても素敵。普通に流して聴くとニートを題材にしたコメディっぽい曲にも捉えることができるのだが、良く聴くとメッセージ性の強さを窺い知ることができる。
何といっても絶望少女達、もとい声優陣の起用方法がとても見事。
ほわほわ電波な野中藍(風浦可符香)に、デスっ気の入った画伯こと小林ゆう(木村カエレ)、普通な新谷良子(普通)、そしてまさかの呪詛ヴォイスの井上麻里奈(キッチリ)と、個性豊かな面々の歌唱もあって飽きることのないスルメ曲となっている。
「空想ルンバ」と「人として~」はシングル版とは起用声優が異なっており、こちらもまた面白い。後藤邑子(小節あびる)の鼻にかかった高音ヴォイスの主張の強さを中心に、真田アサミ(常月まとい)、松来未祐(藤吉晴美)、谷井あすか(小森霧)、etcの絡みがキャラ特有の不器用さを踏まえた歌唱でとても楽しめる。
歌詞を見る限り、「絶望遊戯」は本作品の主題曲のような印象。
とてもダークで、久々に大槻氏の持つ暗黒面を見ることができたような気がします。不気味で不穏。その雰囲気に合わせるかのように井上麻里奈を主に起用してくるとは。やられました。
続く「ヒキツリピカソ・ギリギリピエロ」もなかなか暗鬱で、若干プログレッシブ。
そしてそのヘヴィな曲に合わせて起用した声優がまさかの沢城みゆき(関内・マリア・太郎)。無邪気に、そして淡白に歌い、語られるものだから雰囲気はよりダークに。結局のところこの世は「そうあって欲しい願うけれども、きっとできない」、だからこそ「できるなら・・・」と続けてくる。重いです。
個人的に、「絶望遊戯」~「人形たち」までの4曲が主軸な印象。この中核がしっかりしているから、まさに“糸色望”をモチーフにした「さよなら!絶望先生」という明るめの曲も利いてきます。通して聴いてみて、曲の配置が巧いと思いました。
惜しむべきは、個人的には特別収録の「空想ルンバらっぷ」。
ニコニコ発、アーティスト側公認のMADのようなものですが、ラップが苦手な私としては、そしてコンセプチャルなアルバムであるにもかかわらず完全に流れをぶった切るような曲を入れるのはいくらなんでも暴挙ではないかと。クオリティの高さは認めます。認めるからこそ、残念な感じ。
個人的には、どうせボナトラっぽいものを収録するならば筋肉少女帯の「ハッピーアイスクリーム」を絶望少女達を起用してやってくれたらとても楽しかったかな、なんて贅沢なことを考えてしまったり。
それにしても、アニメ・マンガをモチーフとしているにもかかわらず、クオリティの高い作品を提示してきたものだなぁと感心するばかりです。
=なぉ=
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