やはり気になる
Slipknotの新譜。
「『Iowa』期のようになった」や「よりメロディアスになった」などとバンド側から報じられていましたが、如何せん自分の耳で聴かないことには分からんわ!ってことで一通り聴いてきました。
感想を述べる前の前提として、ドラムのジョーイの発言があるので参考までに引用しますと、新譜のドラム音について「速さを求めた上の軽さ」と述べていました。
個人的な感想としましては、間違いなく賛否両論が起きるだろうなということです。
確かに、メロディアス。Vo.のコリィの力量がキャリアを積んできたことによって増したことは明らかでした。ファルセットまでそこそこに使えるようになるタイプにまで成長するとは、正直意外。
また、個人的見解に過ぎないのですけれども、リフを意図的に似せたアルバム構成にしているのかなという印象を受けました。各曲のリフを統一的にすると、言い方が失礼かもしれませんがいわゆるサブリミナル効果が生じますので、盤に対して「何度も聴いてみたい」と思わせる特殊な効果を生じやすいという現象が生じます。意図したのかそうではないのかは一個人の私には推測しかねますけれども、少なくともこの手法はとトリッキーで良いと思いました。
しかし、惜しむべきは2点。
ひとつは、疾走感にかけるということ。「『Iowa』期のようになった」と言われたことで、私は否が応でもスピード感とか暴虐性の強調を想像せざるを得ませんでした。暴虐性に関しましては、「メロディアスになった」という発言から、きっと『Vol.3』路線を踏襲したものになるのだろうな、ということでさほど気にしていませんでしたけれども、決して速い曲がないというわけではありませんけれども、やはりスピード感の欠如は致命的と言わざるをえないかも知れません。『Iowa』期のようなVo.スタイルが多々見られる点においては間違った発言ではありませんけれども。
もうひとつは、ドラム音の軽さ。「速さを追求したが故に軽い音になった」と、ジョーイは述べていましたけれども、確かに疾走曲はそれで良いのです。強いてならば、今後「スピード+パワー」のドラミングができるようになることを期待するまでではありますけれども、疾走曲以外の曲でも―おそらく重くして重厚な雰囲気を出したほうが“曲”として完璧に仕上がるのではないか、という曲に対しても―軽い音で望んでいるという点が若干不満かもしれません。
作品トータルで聴いた際に、統一的な音作りが出来ているので一概に悪いことは言えないのですが、本作での音作りが、本作の曲の魅力を最大限に引き出したのかと問われると、少し疑問符がつくかもしれません。
と、酷評をしてしまいましたけれども、決して悪い作品ではなく、むしろ間違いなく良作の部類に入ると思います。
特に、
Slipknotというバンドに対してまっさらな人向けの入門盤としては最適な部類なのかもしれないな、と思います。
本作品と『Iowa』を聴けば、おそらくは
Slipknotの魅力の6割くらいを知ることが出来るでしょう。
残りの4割は『
Slipknot』と『Vol.3』、『9.0Live』を聴いて補ってくださいませ。
=なぉ=